ディフェリンゲル外用開始2ヶ月半後、ニキビの範囲の拡大が認められた。 本症例においては、ディフェリンゲルの随伴症状ではなく、期待した治療効果が得られていないと診断した。患者さんの同意の下、ディフェリンゲルに殺菌剤(過酸化ベンゾイルBPO:benzoyl peroxide)を補助的に併用した症例。
併用治療開始後より改善傾向が認められ、8ヵ月後からは新生ニキビも押さえられ、肌がなめらかになった。(新生ニキビができないことはもちろん、頬ずりしたくなるような肌に改善していくことが私のニキビ治療のゴールとしています)また、ニキビの新生が減少したため、頬部のコメド(黒ニキビ)の改善も認められている。
本症例に使用した過酸化ベンゾイル(BPO:benzoyl peroxide)は、現在のところ、保険適応薬ではありません。
しかし、アメリカではFDAに認可されており、1990年代からOTC製品(市販品)として、化粧品などにも配合されています。日本では、厚生労働省の認可がおりず、いまだ自由診療扱いですが『2014年頃には、日本でも過酸化ベンゾイル製剤が保険適用薬として認可されるのではないか』と言われています。
これが実現すれば、治療の選択肢が広がり、本症例のように手ごわいニキビもより治しやすくなります。また、ディフェリンゲル以外にも新たなニキビ用の保険治療薬が認められれば、いよいよ「ニキビは皮膚科で、保険で治す」ということが常識になってくると思います。
本サイトでは、ディフェリンゲルが保険で行うニキビ治療において画期的な治療薬であることを骨子として、「保険でニキビがここまで治る」ということを皆様にご紹介しています。
ディフェリンゲルのおかげで画期的にニキビ治療が前進しました。
しかし、当院(かくた皮膚科クリニック)では、毎日50名近い患者さんがニキビ治療に訪れていますが、すべての患者さんが同じような治癒過程を辿っているわけではありません。
薬剤に対する感受性には個人差があり、さらに患者さんの性格や治療に対する理解度、協力度によって治療効果は大きく変わってくるのです。
本症例についても、ディフェリンゲルが効きにくい「難症例」だったように感じます。
皮膚科医は、保険制度など、さまざまな制約の中で最大効果を最短期間で得るために、過酸化ベンゾイル以外にも症例にあわせてアゼライン酸、ビタミンC誘導体などを適宜選択しています。
特にニキビ治療の症例数の多い皮膚科医は保険適用のディフェリンゲルをベースに様々な治療法の選択肢をもっています。皮膚科に通ったけど治らなかった経験をお持ちの患者さんも1度の通院で諦めず、思い切って他の皮膚科を受診してみることをお勧めします。